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屋上緑化実践事例・取材日記「なんばパークス」屋上庭園の巻 建築工事を担当された山辺さんにお話をお伺いしました

小林

この現場の特徴として、オープンのかなり以前から高木が植栽されていましたが、どのような背景があるのでしょうか?

山辺さん

特に高木などはオープンの1年半前には、ほとんど植えて頂いています。やはりオープンまでに、オールシーズンを経過させてみて、環境に適合しないものは淘汰しながら、基本的な設計のコンセプトのもと、オープンまで漕ぎ着けたというのが、実際のところです。南海電鉄の「なんば」駅というのは、南海電鉄さんにすれば、ホームグラウンドだと思います。この「なんばパークス」は、メインの駅前広場といったようなイメージで、商業施設でありながら商業施設のような建物のつくりかたはしていないですね。一般の商業施設では、ある意味早く、軽く作ることで、フレキシブルな対応を可能にしています。しかし今回は、いわば本社ビルに近い意味合いを持った高耐久型の施設になっています。時代に合わせて店舗や内装が変化しても、構造や外観のデザイン、そして屋上庭園は長く残っていくでしょう。そのような考え方の中で、緑については、しっかりとしたものを造ってきたつもりです。

小林

普通の建設工事では、オープンの1年半以上前に、樹木を植えておくといったことは、珍しいことと思いますが。

山辺さん

通常はしないと思います。造園の世界では、竣工から1年間、枯れに対する保障をするのが普通です。樹木の根のまわりについている土壌空間(根鉢)だけで、1年間はよっぽどのことがない限り枯れないですね。植えた土地の環境にあうかどうかは1年以降の話です。ですので、今回のような形態は非常にリスクがあります。現に1年以上経ってから、調子が悪くなってしまった樹木も発生しました。

小林

工事をされた方々の努力が実り、オープン時には、木々の葉が見事に生い茂っていました。

木々の葉が見事に生い茂ったなんばパークス

山辺さん

誰が見ても、根が活着して自分の力で葉を出している樹は力強いですよね。それは本来、樹木が持っている雰囲気、エネルギーを感じることが出来るからなのではないでしょうか?「本物や!」と皆さんに思っていただけるからこそ、何度も足を運んで頂けるのだと思います。商業施設を問わず、普通は階の移動にエスカレーターやエレベーターを使いますね。でもここに来られる方は、2階から8階まで、歩いて上がる人が多いですね。車イスの方や乳母車を押した方も大勢遊びに来てくださいます。そんな、人々が多く集う空間を提供できたことを、とてもうれしく思っています。やはり設計の力は、大きいという印象が強いです。またそのプランに賛同して頂き、お金を出して下さった、南海電鉄さんの力が何よりも大きかったと思います。

小林

最後に、これから商業施設において屋上緑化を考えられている方々に、ぜひ一言お願い致します。

山辺さん

一番大切なのは、生き物を扱うわけですから、造ったものは劣化させない、質を落とさないようにメンテナンスをしていくことだと思います。防水や配管などは、定期的なメンテナンスだけで成り立ちます。しかし緑化では生き物を扱う訳です。常駐管理だけが良い方法とは言えませんが、少なくとも定期的なメンテナンスが必要になるということを良く把握しておかなければならないと思いますね。植物というのは、植えた時点が終わりではない。維持管理して、来る人を飽きさせないように、ずっと魅せていかないといけない。イニシャルよりランニングコストを良く考える必要があるのではと思います。

小林

貴重なおはなしをどうもありがとうございました。

(取材日2003年11月15日)

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