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建築工事を担当された山辺さんにお話をお伺いしました

小林 まき子

都市と緑が融合した新たな商業施設となる「なんばパークス」。この地に本物の緑を取り入れるために注意されたポイントをついて、商業棟等の建築工事を担当された大林・南海辰村・大成・熊谷共同企業体所長の山辺秀夫さんにお話を伺いました。

山辺秀夫さん

小林

宜しくお願いします。山辺さんは、
この現場に何年ぐらい携わられているのですか?

山辺さん

もう丸6年になります。着任当時、現場にはまだ大阪球場がありました。平成10年11月から平成11年3月まで、球場の解体工事を行い、平成11年11月から新築工事に着工しています。

小林

当初の企画・設計段階から、屋上にボリューム感のある緑が取り込まれていたとお聞きしました。そこにはどのような背景があるのですか?

山辺さん

「なんばパークス」

「なんばパークス」には、設計段階から「アース」という共通のコンセプトがあります。再開発によって出来た大地は、時と共に隆起し、風雨によって浸食されたという想定から、渓谷(キャニオン)とセンターモールという新たな空間が生まれました。外装の吹きつけは、地層をイメージして横に流れ、岩やグレー粘土、赤土や砂地盤を表しています。この丘の上となる地表面には、自然が広がるという形で、屋上庭園のコンセプトが生まれました。


小林

思いを現実の形にするのは、大変な作業だと思います。「なんばパークス」の建設では、どのような点に注意されたのでしょうか?

山辺さん

今回の現場には、技術的な側面で大きなテーマが2つありました。1つは地下の面積が非常に大きい建物であり、この部分をどうするか。1期工事の商業施設部分だけをとれば、地下の面積比率は45%にもなります。2つめは屋上緑化です。屋上緑化で特に気にしたのは、漏漏水対策をどう考えていくかということでした。建物形状も複雑で、防水面積も非常に多くなっていました。この点については、早い段階から現場の品質管理のメインテーマとして取り上げていました。

小林

漏水対策は屋上緑化にとって、特に重要なポイントですね。どのような対策がとられたのですか?

山辺さん

漏水管理としては、現場でのチェックを厳しく行ったこと、物理的な防根対策としては、防水層の上にモルタルを打ち、かつクラックからの根の侵入を防ぐために、防根層を設置するといった二重の対策をとりました。また屋上植栽における「土」の扱いも大きな問題でした。今までの経験では、関西特有のマサ土に、軽量化のパーライトやバーク堆肥を混ぜるというような、一般的な改良土壌を採用してきました。しかし何年かすると、土が締まって固くなり、植えているものが枯れてしまうという問題がありました。

小林

土壌の入れ替えが出来にくい屋上緑化では、経年変化の少ない素材が求められます。「なんばパークス」では、軽量人工土壌の「ビバソイル」をご採用頂きました。

山辺さん

「なんばパークス」

そうですね。工事を担当して頂いた辻本龍松園さんと話を進める中で、現場の空いたスペースに仮設の花壇をつくり、ビバソイルを使って植栽実験を行い、実際に確かめるということをしました。チューリップなどの花から野菜、ナス・トマトなども植えてみましたよ。施工までの約1年半から2年間の実験の結果、ビバソイルは、非常に土痩せがなく、根の張りが良く、花つきも良かったといったことを確認し、採用することになりました。ただ今回の植栽では、40度を越えるような、かなりきつい傾斜面もあり、ビバソイルが急勾配の傾斜でも流れないかどうかを確認しているところです。躯体では段々畑状に処理しているのですが、やはり土は円弧すべりを起します。例え、植物の根が張っているとしても、含水比が高くなりすぎて、滑り崩壊を起こす際は、水が流れるように、土が滑って(流れて)しまいます。特に梅雨と台風がバッティングしたときなどは、土が持つ含水比がものすごく高くなり、心配な部分がありますね。そこで施工担当の西塙君と相談しながら、杉の板を土留めとして入れています。表面には見えませんが、施工サイドでも、万が一のための様々な処置をしています。

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